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まずBtoCとBtoBでは消費者の購買行動が違う
はじめに、基本的に私たちはクライアント企業がBtoCのビジネスを行っているのか、またBtoBのビジネスを行っているのかによって顧客の購買行動の考え方を分けています。WEBマーケティングにおけるゴールの多くはお問合せや購入になるわけですが、そこにたどり着くまでのフロー、つまり購買行動が大きく違い、行動心理も大きく異なるからです。
WEBはデバイスを使って様々なコンテンツにアクセスするわけですが、BtoCとBtoBではデバイス一つ取っても大きく違う。
やはりBtoCは一般のユーザーがほとんどですから、スマートフォンでのアクセスがベースとなるわけです。こちらは経済産業省が発表した「令和4年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」による記載を一部抜粋したものです。
2022年の物販系分野におけるBtoC-EC市場規模は13兆9997億円(前年比5.37%増)。そのうちスマホ経由は7兆8375億円(同12.9%)で、スマホ比率は55.98%に達した。
情報通信機器の保有状況(世帯)に関する統計データによると、2021年におけるスマホの世帯あたりの普及率は88.6%。パソコン保有率は下落傾向で、2021年は69.8%。「EC事業者をはじめ、インターネットビジネスを展開する事業者は、スマートフォンを第1に想定したコンテンツやサービス作りが重要な時代になっていると言える」(電子商取引に関する市場調査より)
ECにおけるデータですが、スマホ比率が非常に高い。
皆さんの普段の情報収集の方法などからもイメージしやすいかと思いますが、基本的にスマートフォンでのアクセスがベースとなっていますよね。
それと比較して、BtoBではまだまだPCでの情報収集がメインとなっております。まだまだといっても、日常業務におけるメインデバイスがスマートフォンになっていかない限りPCがメインと考えて良いかと思います。今後スマートフォンに移り変わっていくのかは想像し難いところですが、デスクワークは基本的にPCで行っていくのではないでしょうか。
では次から、具体的に顧客購買行動をどのように考えていくのか記載していきたいと思います。
WEBマーケティングにおけるBtoCの場合の顧客購買行動
BtoCビジネスの場合、基本的にはAISAS(アイサス)というモデルをベースとしてWEBマーケティングを行っていきます。AISASというのは顧客購買行動の各フェーズをAttention、Interest、Search、Action、Shareの5つに分けて考え、その頭文字を取ってアイサスと呼びます。こちらが図にしたものです。
では次にそれぞれのフェーズについて説明していきます。
Attention
Attentionは「認識」のフェーズです。つまり、まず消費者が広告や販促活動、SNSなどの情報を通じて、商品やサービスが消費者の目に留まります。まずその企業やサービス、商品を認識するのがファーストステップ。
Interest
Interestは「興味・関心」のフェーズです。企業やサービス、商品に対して、なんとなく興味が湧いている状態です。この時点では明確に「このブランドのこれが気になる!!!!」という状況まで行っておらず、ふんわりとした興味だと捉えてください。なので次の検索に移るわけです。
Search
Searchは「検索」のフェーズです。つまり情報収集。抱いた興味・関心に対して具体的に調べる状況となっています。ただし、このフェーズの中でも段階があることが想定されます。このSearchは最終的には企業やブランドのウェブサイト等にアクセスするであろうフェーズですが、BtoCですのでInstagramやX(Twitter)のハッシュタグやキーワード検索から始める事も考えられる為、Searchと言っても純粋な検索エンジンでのキーワード検索に辿り着く前のSearchがあるでしょう。
Action
Actionは「行動」のフェーズです。つまり実際に商品を購入したり、サービスに申し込む段階です。消費者は、収集した情報をもとに購入を決定し、購入行動に移ります。
Share
Shareは「共有」のフェーズです。購入した商品やサービスについて気に入ってくれれば、その商品の情報をSNSなどで共有するであろう、というプロセスです。ただし、気に入ってくれた場合もそうですが、その商品を使って残念な経験をしてしまった場合はネガティブなShareが発生することが考えれます。
こちらがAISAS、購買行動を表すモデルですが、この考え方を拡張させたDual AISAS(デュアル アイサス)というモデルもありますが、私たちはまずベースとしてはAISASを用いることが多いです。今回Dual AISASについての説明は割愛させていただきますが、ご興味のある方は電通報のこちらの記事を御覧ください。
では次にBtoBにおける顧客購買行動についてです。
WEBマーケティングにおけるBtoBの場合の顧客購買行動
先程のAISAS(アイサス)は基本的にBtoCにおける購買行動のモデルですが、BtoBにおいてはコレ!といったモデルが無くぼんやりしているのですが、BtoBにおける購買行動を定義したASICA(アシカ)というモデルがあります。
このASICAではBtoBは以下のような購買フェーズが定義されています。
- 課題(Assignment)
短期的課題と長期的課題の2つから考える、顧客企業のマーケットや企業の課題。 - 解決(Solution)
前述の課題に対して、企業担当や営業担当より解決案を提示する - 検証(Inspection)
商品やサービスの仕様や競合と比較した際の優勢性、またはデータ - 承認(Consent)
商品やサービスの承認が組織内で得られるよう行う、提供側から行う支援 - 行動(Action)
購入する段階
WEBマーケティングにおけるBtoBの購買行動はASICAでは説明できない
上記がASICAのモデルの内容ですが、私たちはWEBマーケティングにおいて、そしてBtoBでの購買行動はASICAがピタリとハマるとは考えておりません。ASICAは2009年に日本BtoB広告協会アドバイザー。BtoBコミュニケーション大学校副学長を務める河内英司氏が提唱したモデルですが、私たちが現代のWEBマーケティングにおいて現場で使えるモデルとは言い難い。そういった印象を持っています。
そこで私たちモノモードでは、AISASにASICAの一部を組み合わせた独自のモデルをベースとして用いており、それは以下のような購買フェーズを設定しております。
- 課題・目標
企業における課題や達成したい目標があり、その解決方法や達成手法を検討・実施する必要がある状態 - 情報収集(認知・検索)
課題・目標に対しての解決手法、達成手法を検討する上でどのようなサービスを検討するべきか。それを社内で検討するための情報を得るべく、情報収集を行っている状態。 - 比較先選定
情報収集の結果、手法に対してのイメージはついたが、サービスや商品を選定する上で複数社と比較検討したく、そのための比較対象を選定したい。 - 行動
比較先としてフォームや電話等で比較先と接触するため連絡を行う
このモデルは、私たちが実際のWEBマーケティングの現場からヒントを得え考えたもので、企業における課題や目標からスタートするというところがポイントです。そして比較前の比較先選定、複数社の中から全てに問い合わせるのではなく、問い合わせ先の選定がまずある、というところも重要だと考えています。
なぜモデルを使うのか
これまでAISASや弊社独自のモデルなどをご紹介してきましたが、WEBマーケティング施策を考える上でなぜこのようなモデルを用いるのか。それはユーザーの心理状態や彼らが起こす行動をフェーズ毎に分けて、フェーズ毎に施策を考える為です。
また、現状このフェーズ毎の施策に対してどういったことが出来ているのか。
というところも併せて考えることで、クライアント様自身の分析も一緒に行いやすいのです。