こんにちは、W.Tです。
今回はWebディレクターとして働く自身の永遠の課題である、情報整理について執筆します。
目次
Webディレクターにおける情報収集の大切さ
私たち制作業に携わるようなWebディレクターは、決められた業務を効率よくこなすようなルーチンワークは少なく、自身の知識やスキルを活かして、求められるクオリティに応えるナレッジワークが中心です。
ナレッジワークでは自身の知識量が求められますが、全てを自分の頭の中で考えて、アイディアを0から生み出すわけではありません。
世の中にある既存のアイディアとアイディアを掛け合わせて、お客さまのWebサイトを表現したり、ユーザーが満足しやすいサイト設計を行います。
当然、アイディアや情報を感度高く収集し、自分の知識として活用できるかできないかで、仕事のスピードもクオリティも変わってくるので、いかに情報収集を効率的に、いつでも使えるように引き出しにしまっておくかは非常に重要な課題なのです。
今回のテーマでは主に、情報収集と情報整理の方法についてお話します。読んでいただいた方のなにかの参考になれば幸いです。
情報と知識の違い
まず、本題に入る前に、情報と知識の明確な違いについて、整理します。
それぞれをGoogleで検索すると、「情報」は以下のような定義でした。
「ある物事の事情についての知らせ」「それを通して何らかの知識が得られるようなもの。」
「知識」については以下のように定義されています。
「ある事柄について、いろいろと知ること。その知りえた内容。」「認識によって得られた成果、あるいは、人間や物事について抱いている考えや、技能のこと」
つまり、情報は世の中にある知らせや事情のことを指しますが、
知識はある情報によって何らか自分が認知し、自身の考えや技能に結びつくことを指します。
昨今では、SNSやインターネットの発達で、すぐに自分の得たい情報を収集できるようになりました。
一方、日々流れ続ける情報の数は膨大で、情報過多社会とも言われています。目に入った情報に飛びついて、それらを収集し続けても、自身が知識として活かせるかどうかは全く別問題なのです。
Web業界では特に、情報のアップデートや情報の交換が盛んに行われておりますが、「情報を見て、理解したつもりでも、結局は知識として身についていない」という結果は、誰しも経験したことがあるのではと思います。
情報を整理し、知識化するためには
では私たちは、この情報過多社会でどのように情報と接していくべきなのでしょうか。
それは、「質の良い情報集め、整理・分類し、咀嚼できる場を作る」ことではないかと考えています。
① 情報を見つける
まず、情報を見つける方法です。
Webディレクターである私は、書籍やインターネット上で情報を見つけることがほとんどですが、主に「Webサイトの設計,操作感」「Webサイトの世界観,コンセプト」を考える際に、情報を見つけにいきます。
見つける方法は多種多様ですが、サイト設計を例に上げるとするならば、似たような構成やメッセージ性のサイトをギャラリーサイトやWeb検索で収集することが多いです。
また、「世の中の他のディレクターがどのようにサイトを設計しているのか」を探すために、個人ブログやnote、Twitterなど、発信されやすい媒体で、情報を収集しています。
② 集めた情報を整理する
次に、見つけた情報を集めて整理する方法です。
情報を最終的には知識へ紐付けて、実践で使えるようにするためには、正しく整理し集めた質の良い情報を、いつでもスムーズに取り出せるようにしておくことが大切です。
情報を整理する方法としてPCのアプリやツールを使ったり、手書きのノートを活用する手もありますが、私はアクセスのしやすさ、整理整頓のしやすさ、情報同士の紐付けのしやすさからPC上のツールにまとめています。
※使用しているツールは後述します。
③ 整理した情報を咀嚼し、知識へ変換する
整理した情報は、その後咀嚼し、自身の知識へ変換します。
咀嚼の仕方としては様々ですが、得た情報を自身の言葉で書いてみる、似たような情報を並べて共通点を見つけるなど、実践に活かすための方法を選びます。
Webディレクターの実践の場は、サイト設計の例でいくと、「実際に案件のサイト設計を引くとき」なので、設計を引く時に、どんなまとめ方をしておけば使いやすいかを逆算して、知識化すると良いと思っています。
また、知識への変換は一度では終わらず、定期的にアップデートしなければなりません。
この集めた情報を咀嚼し、知識へ変換する流れをスムーズに行うために、②の情報整理術は非常に重要なポイントとなります。
今まで実践してきた情報整理ツールの例
ここからは、②の情報整理について、私が今までに実践してきたツールをいくつかご紹介します。
実際に試してみて良かったことや、課題点もまとめています。
Notion
Notionは言わずも知れた、様々な情報を一括で管理でき、メモにもWikiにもなる万能ツールです。
Webディレクターであれば、すでに触ったことがある方も多いかも知れません。
良い点
Notionの大きな特徴として、情報の形に問わず、なんでもキレイにしまっておくことができます。
情報の形(文章、サイトURL、画像、動画 など)に合わせて、Notion側で見やすいオブジェクトに調整できるので、適当に突っ込んだとしてもある程度きれいにまとまります。
また、通常のメモツールとは異なり、ページ内にカラム構造も作ることができるため、情報の塊感や、グルーピングも行いやすいのが特徴です。
そして、メモ以外にも、Excelのような表組み、画像一覧で見やすいギャラリー、データベース化など、その他にも様々な見た目に変えて、「ビジュアルとしても情報を探しやすい」状態にしまっておくことができます。
NotionはPCだけでなく、タブレットやスマホでもアクセスできるため、情報へのアクセスのしやすさについても、非常に良い点だと思います。
課題点
触ったことがある方であればわかるかもしれませんが、整理するためのルールメイクが課題です。
情報の形が増えて、情報の種類も増えていくと、データベースの紐付けやカテゴライズを行わないと、Notion上で情報が迷子になっていきます。
ただ、ガチガチにルールを決めてしまっても運用しにくく、「情報をすぐに取り出せる」状態になりにくい場合もあり、このルールメイクのバランス調整が非常に難しいです。
特にNotion上の情報量が増えた後、情報整理がしにくい状態から整理することが難しく、闇雲に情報を突っ込むことの危険性はあるのがNotionかと思いました。ある種「Notion内で情報過多」が起きてしまうのです。
Scrapbox
ネットで調べたことを手軽にメモを取りたいが、メモ同士のリレーションもしておきたい…と思って触り始めたのがScrapboxです。
Scrapboxはオープンソースのアプリなので、誰でも簡単に始められるのが特徴で、ブラウザからどこでもアクセスができます。
良い点
そのメモの手軽さはピカイチで、Macの純正メモのような感覚でメモを書きつつ、メモにハッシュタグやリンクを付けることで、他のメモと紐付けることもできます。
とりあえず雑にメモを書いて後から整理しようかな…といった場合に使っている事が多いです。
課題点
そもそもの使い方の問題なのですが、画像やサイトURLなど、テキスト以外の情報を突っ込んだ時に、どうしても見た目が崩れたり、見にくい状態になる場合が多いです。
また、1つのメモはなるべく短くしておかないと、後から見た時に「この情報って何書いてるんだっけ?」という目的もわかりにくくなるので、「一時メモ」としての使い方が私にはいまのところ合っているようでした。
Eagle
最近使い始めたのがEagleという画像収集ツールです。
買い切りのアプリがありますが、30日間トライアルもできます。(2022年4月時点)
収集対象は、画像や動画、Webサイトが中心で、文書形式のものを格納する目的では使いません。Pinterestに近いツールです。
良い点
情報の収集対象が明確で、またその情報を使用する用途もシンプルです。
例えば「数字で見る●●会社」というページを作る場合に、掲載内容の方向性を決める上で、他のサイトを見に行くと思いますが、普段からEagleに質の良いサイト構成の画像やサイトURLの状態で放り込んでおけば、Eagleを見に行くことで設計に必要な情報が完結します。
普段情報を集めるときも、ショートカットやブラウザの拡張機能はもちろん、ブラウザ上の画像をドラッグアンドドロップするだけで保存ができる、「情報格納までの速さ」も魅力の1つです。
日々の業務中で情報を素早く集め、情報を咀嚼するための俯瞰しやすいUI、ストックした情報へのアクセスのしやすさを実感することができるツールです。
課題点
使い始めてまだ1ヶ月くらいなので、大きな課題感を感じてはいないのですが、外部クラウドファイルへの同期はできるものの、Eagle内に独自のクラウド機能がないため、デバイスが変わるとアクセスができない欠点があります。
業務に限っての使用ならば、1つのPC内でアクセスすることが多いので、そこまで大きな課題ではないかなと思います。
さいごに
今回は、日々の情報収集と情報整理の考え方や具体的な実践方法についてまとめました。
今年の4月でWebディレクター6年目になった私ですが、未だこの情報収集の最適解は模索を続けているような状態で、この模索の先に終わりはないとも思います。
働き方や自身の仕事の幅に合わせて必要な知識や情報の整頓の仕方も変わってくるので、今後もアップデートを続けていきます。