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見た目ではわからない”コーディング品質”が印象を左右する
デザインでは綺麗に見えても、実際に公開するとスマホで崩れたり、更新時にエラーが出たりすることがあります。
原因の多くは コーディング品質 にあります。。
Web制作の段階ではデザインだけで判断しがちですが、Webサイトとして公開後したあとの信用や成果を本当に左右するのは 見えない裏側です。
本記事では、
- なぜコーディングが信用に関わるのか
- Web担当者が勘違いしがちなポイント
- 今すぐできる3ステップチェックの方法
- 制作会社とのやり取りで使える具体的な視点
を解説し、「見えない品質」を正しく判断し、今日から行動できるようになることをゴールにしています。
この記事で学べる「3ステップチェック」の概要
Web担当になったばかりだと、「何をどう見ればいいかわからない」という状態だと思います。
この記事では、以下の3ステップで自社サイトの品質をチェックする方法を紹介します。
Step 1:複数のデバイスで実際に触ってみる
スマホ、タブレット、PCなど、さまざまな画面サイズで表示を確認します。特に見落とされがちな「中間領域(PCのウィンドウを『少し』狭めた状態や、横向きのタブレット画面のことです)」の確認が重要です。
Step 2:PageSpeed Insightsで速度をチェック
Googleが提供する無料ツールで、サイトの表示速度を測定します。モバイルで80点以上が目安です。
Step 3:更新作業で困った点をメモしておく
日々の運用で「レイアウトが崩れた」「エラーが出た」などの問題をメモしておくと、制作会社とのやり取りがスムーズになります。
それでは、なぜこのチェックが必要なのか、詳しく見ていきましょう。
コーディング品質が信用に影響するしくみ
表示崩れは “この会社、大丈夫?” という印象につながる
ユーザーは”見え方”で印象を判断します。例えばスマホでレイアウトが崩れていたり、ボタンが押しづらかったりすると、「管理が行き届いていない会社なのかな?」という不安につながります。
採用ページやサービスページの不具合は信用損失に直結
- 応募フォームが使いにくい、エラーで送信できない → 「この会社に応募して大丈夫?」という離脱が起きる
- サービス説明が崩れて読めない → 問い合わせや資料請求が減る
コーディングが雑だと更新時のトラブルが増える
CMS(WordPressなど※)で更新したり、画像を差し替えたらレイアウトが崩れる…。これもすべて「見えない品質」の問題です。
信用は見た目だけではなく、動作の安定性や使いやすさといった部分も重要になってきます。
※ CMS(シーエムエス):コンテンツ管理システムのこと。専門知識がなくてもWebサイトを更新できる仕組み。WordPressが代表的。
見た目だけでは測れない。コーディングが成果に直結する理由
表示速度が遅いとユーザーはすぐ離れてしまう
ページの読み込みが遅いと、ユーザーは待ってくれずに離脱しやすくなります。
つまりは、ユーザーにとってもサイト運営者にとってもマイナスの要素になる、ということです。
たった数秒の違いでもユーザー体験には大きく影響し、機会損失につながってしまう可能性があるということです。
レスポンシブの質が悪いとスマホユーザーの行動が鈍る
特にフォーム周りは、余白・フォントサイズ・ボタン位置など微妙な部分が成果に直結します。
※ レスポンシブ:画面サイズに応じて、レイアウトが自動的に最適化される仕組み。
HTML構造の品質はSEOにも影響
検索順位の基礎には「適切なタグ構造」が必要です。デザイン通りに見せるだけの実装だとSEO評価を落とすこともあります。
フォームの実装品質はCV率に変化を生む
- エラー表示が見づらい → 入力ミスに気づかなくて離脱される
- スマホでボタンが押しづらい → 完了率が下がる
コーディングは見えないところで成果を支えています。
初心者Web担当がやりがちな”コーディングの勘違い”
1. 「デザイン通りに作ればどのデバイスでも同じように見える」
デザインはあくまで”静止画”です。
実際のWebサイトは、画面サイズごとに動的に変化します。
実装が甘いと、特に横幅768〜1024pxの中間領域で崩れやすいです。
2. 「スマホ対応=スマホの見た目を整えれば十分」
よくあるのが「スマホとPCだけ対応して中間領域は放置」というパターン。
これだとPCでウィンドウを狭めたときやタブレットで表示したときに、
- 文字が大きすぎる
- 余白がスカスカ or 余白がキツキツ
- レイアウトが横に伸びすぎる
- コンテンツ同士が重なる
- 不要なカラム落ちなどが発生する
など、非常に読みにくくなります。そうすると先に述べたような「この会社に大丈夫かな?」といった不安につながることがあります。
タブレット専用デザインは不要でも、破綻しない調整は必須です。
※ カラム落ち:横に並んでいた要素が、画面幅が狭くなると下に落ちて縦並びになること。意図しない場所で起きるとレイアウトが崩れる。
3. 「CMS導入すれば全部ラクになる」
実は、CMSの導入は”ラクになる土台を作るだけ”。
実装品質が悪いと、更新のたびに崩れたり、管理画面が使いにくくなります。
4. 「見えない部分は気にしなくていい」
むしろ一番重要なのが見えない部分です。
- コード
- 内部構造
- レスポンシブの細かい調整
- アクセシビリティ(障害のある方でも使いやすい設計)
ここがWebサイトの “寿命” を決めます。
【詳しく解説】自社サイトの品質を3ステップでチェックする方法
ここからは、冒頭で紹介した3ステップチェックの具体的な方法を詳しく解説していきます。
Step 1:複数のデバイスで実際に触ってみる
チェックするポイント:
- スマホ(縦・横)
- タブレット(縦・横)
- PCブラウザを狭めた状態
見るべき箇所:
- メインビジュアルやボタンが切れていないか
- 文字が読みやすいサイズか
- フォームが入力しやすいか
- 画像が極端に大きすぎたり小さすぎたりしないか
特に見落とされがちなのがタブレット表示です。PCとスマホだけチェックして満足してしまうケースが多いのですが、タブレットで見ると中途半端なレイアウトになっていることがあります。
Step 2:PageSpeed Insightsで速度をチェック
サイトのURLを入力するだけで、表示速度のスコアが確認できます。
目安の数字:
- モバイルで50点以下 → 要改善
- モバイルで50〜80点 → 改善の余地あり
- モバイルで80点以上 → 良好
- デスクトップで80点以上 → 及第点
※ スコアは「絶対的な評価」ではなく、「品質を見極めるヒント」として捉えましょう。
PageSpeed Insightsの2つのデータ:
- 実際のユーザーの環境で評価する(フィールドデータ):実際のユーザー環境に左右されるため、時間帯や端末によって変動することがあります
- パフォーマンスの問題を診断する(ラボデータ):機械的にテストされるため、誰が測ってもほぼ同じ結果になります
Step 3:更新作業で困った点をメモしておく
実際に運用していると、こんな困りごとが出てくるはずです。
- 画像を差し替えたらレイアウトが崩れた
- 文章を追加したら変なスペースが空いた
- スマホで見ると表示がおかしい
これらをメモしておくことで、制作会社とのやり取りがスムーズになります。
具体的には:
- いつ、どのページで起きたか
- どんな操作をしたか
- スクリーンショットを撮っておく
こうした記録があると、制作会社も原因を特定しやすくなり、修正対応がスムーズに進みます。
制作会社とのやり取りで使える!具体的な質問テンプレート
自社サイトの品質に不安を感じたとき、または新規制作・リニューアルを検討するときに使える質問例をまとめました。
現状のサイトについて確認したいとき
- 「中間領域の表示は調整されていますか?」
- 「表示速度について、何か改善できるポイントはありますか?」
- 「更新時にレイアウトが崩れやすい原因は何でしょうか?」
新規制作・リニューアル時に確認したいこと
- 「レスポンシブ対応のブレイクポイントはいくつ設定されますか?」
- 「品質チェックの項目を教えていただけますか?」
- 「納品後、軽微な調整が必要になった場合の対応はどうなりますか?」
例として、「レスポンシブ対応のブレイクポイントはいくつ設定されますか?」と質問して、回答が2つ(PC・スマホ)だった場合に、「中間領域の表示は調整されますか?」という流れで確認してみるのも良いと思います。
※ ブレイクポイント:デザインが切り替わる画面幅のポイント。一般的にはPC・タブレット・スマホで3つ程度。
“中間領域の調整”で制作会社の対応力がわかる
多くの制作会社は、PCとスマホの2つのブレイクポイントだけでデザインを調整することが多いです。そのため、中間領域(タブレットなど)は「スマホ表示で問題ない」と判断されることも少なくありません。
でも実際には、タブレットからのアクセスも意外と多く、特に企業サイトでは社内端末で閲覧されるケースがあります。
タブレット専用デザインがなくても、以下のポイントを破綻しにくく調整してくれる会社は、対応が丁寧な傾向があります。
- 画像の見せ方
- 行間と余白
- カラム崩れ
- モジュールの並び順
こうした点は、制作会社ごとの対応力の差が表れやすい部分です。
ちょっとした調整でも、ユーザーの見やすさや印象に大きく影響するので、チェックしてみると良いでしょう。
良いWeb制作会社を見分ける”品質チェックシート”の透明性
品質チェックシートとは、制作側の品質基準を可視化したものになります。
品質チェックシートを共有してくれる制作会社は多くありませんが、品質に自信がある制作会社は、以下を共有してくれることがあります。
- レスポンシブのチェック項目(中間領域含む)
- クロスブラウザ・クロスデバイステスト(複数のブラウザ・端末での動作確認)
- 表示速度やパフォーマンス
- クセシビリティ
- CMS編集画面の操作性
品質チェックシートを共有してもらえると、制作会社の品質基準が把握しやすくなります。
発注側も判断しやすくなるので、とても大きなメリットです。
もし今の制作会社に確認するなら:
「品質チェックの項目があれば、参考までに教えていただけますか?」と聞いてみるのがおすすめです。
まとめ
Webサイトの品質は、見えない部分で決まります。
今日からできること:
- 自社サイトを複数のデバイスでチェックしてみる(特に中間領域)
- PageSpeed Insightsで表示速度を確認してみる
- 更新作業で困ったことをメモしておく
新規制作・リニューアルを検討している場合は:
- 制作会社に「品質チェックの項目を教えていただけますか?」と聞いてみる
品質を判断する視点が身につくと、制作会社とのやり取りや発注の精度が上がり、無駄な修正コストを減らすことにもつながります。
短期的な見た目の良さだけでなく、長期的に運用しやすいサイトにするために、デザインの裏側にある品質にも目を向けてみましょう。
「自社サイトの品質が気になる」「制作会社への発注前に相談したい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。私たちがサポートいたします。
